焼締、引出黒などを焼く2014

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簡易登り窯「紫松窯」
焼締、引出黒などを焼く

箱のような構造の「紫松窯」は、大阪の(株)マツダが製造・販売する炭を燃料とした登り窯のような窯で、燃料の炭は下段に、作品を中段と上段に詰めて焼成する。中段の床と上段の棚板は左右を空けて90度ずらし、さらに蓋に空けた煙突も90度ずらす。そうすることにより炎がらせん状に上昇し、炉内をまんべんなく暖めると同時に、1,300度以上の焼成温度を実現した。
松窯は、炭の灰が降り注ぐことがほとんどないので釉薬ものもきれいに焼き上がる。また、炭やもみ殻などと窯詰めすれば焼締ものも問題なく焼き上がる。さらに炉を積み重ねただけなので、引出黒などの焼成もラクに行うことができる。こうした操作しやすい窯で多様な焼成を楽しんでいるのが、千葉・柏市の橋本達也さん68歳だ。
5年前に製造元で実際の焼成を見学して購入を決断。自宅の駐車場で年に10回ほど焼成を行ってきたが、現在は近くの宗山窯に紫松窯を移した。その窯詰めから焼成までを、今まで焼いてきた多彩な作品とともに紹介する。

橋本達也さんが焚いている加熱室1段、焼成室が2段の紫松窯(Mタイプ)

橋本達也さんが焚いている加熱室1段、焼成室が2段の紫松窯(Mタイプ)


*蓋外寸法:H50×W400×D400mm
*各焼成室外寸法:H350×W400×D400mm
*各焼成室内寸法:H200×W270×D270mm
*加熱室外寸法:H200×W400×D400mm
*加熱室内寸法:H200×W270×D270mm
*価格:542,860円
(外寸と内寸が各50mm狭く、焼成室の高さが50mm低い Sタイプは358,100円。いずれも本体価格)



茶碗をメインに制作する橋本達也さん。焼き過ぎて蓋が破損したので修理したばかり

茶碗をメインに制作する橋本達也さん。焼き過ぎて蓋が破損したので修理したばかり



製造・販売:株式会社マツダ
〒586-0094 大阪府河内長野市小山田町5365-23
電話: 0721-53-9444
FAX:0721-53-9443

焼き上がり


「トルコ青釉茶碗」高さ4.7cm、口径15.2cm *半磁土で成形し、トルコ青釉を掛けて2時間1,280度で焼成

「トルコ青釉茶碗」高さ4.7cm、口径15.2cm
*半磁土で成形し、トルコ青釉を掛けて2時間1,280度で焼成


「焼締茶碗」高さ6.2cm、口径13cm *錆土の粗目で成形し、1,340度で4時間焼締焼成

「焼締茶碗」高さ6.2cm、口径13cm
*錆土の粗目で成形し、1,340度で4時間焼締焼成


「引出黒茶碗」高さ8cm、口径10.3cm *楽白土で成形して加茂土釉を施釉。2時間焼成し、1,100度で引き出し水の中に入れて急冷

「引出黒茶碗」高さ8cm、口径10.3cm
*楽白土で成形して加茂土釉を施釉。2時間焼成し、1,100度で引き出し水の中に入れて急冷


「引出黒茶碗」高さ8.2cm、口径11cm *楽白土で成形して加茂土釉を施釉。2時間焼成し、1,100度で引き出し水の中に入れて急冷

「引出黒茶碗」高さ8.2cm、口径11cm
*楽白土で成形して加茂土釉を施釉。2時間焼成し、1,100度で引き出し水の中に入れて急冷


井戸茶碗」高さ7.2cm、口径14.5cm *錆土の粗目で成形し、井戸茶碗釉2号を掛けて、2時間1,280度で焼成

井戸茶碗」高さ7.2cm、口径14.5cm
*錆土の粗目で成形し、井戸茶碗釉2号を掛けて、2時間1,280度で焼成


「青織部茶碗」高さ7.4cm、口径12cm *白土で成形し銅の削りかすを主成分にした織部釉を掛けて2時間焼成。1,280度で引き出してもみ殻の中へ

「青織部茶碗」高さ7.4cm、口径12cm
*白土で成形し銅の削りかすを主成分にした織部釉を掛けて2時間焼成。1,280度で引き出してもみ殻の中へ

窯詰めと焼成

一つの燃焼室と二つの炉内が別々で、しかも重箱のように重ねただけの紫松窯の窯詰めは簡単だ。いちばん下の燃焼室に製造元が推奨するコーヒーの漉した粉を固めた「ハイカロ炭」をいっぱいに詰め、その上に重ねた二つの炉に作品を詰めて蓋をする。
焼成は、燃焼室の空気穴からバーナーの炎を入れて炭に点火するだけ。炭を注ぎ足したり、作品を引き出したりすることが構造上簡単にでき、電気窯、ガス窯、灯油窯を上回る機能性を備えているのが、紫松窯の大きな特徴だ。
DSC_8129-3 DSC_8134-3 1、燃焼室に1回分の燃焼に必要なハイカロ炭を50個、約3.5kg詰める
2、両脇を空け、空気穴の向きと並行に棚板を載せる*炎は両脇の隙間から炉内入る
DSC_8136-3 DSC_8144-3 3、施釉した素焼きの茶碗などを詰める
4、炉を載せ、温度計を差し込む
DSC_8152-3 DSC_8153-3 5、空気穴の向きと直角に棚板を載せ、さらにその上に茶碗などを詰め、さらに炭を2本立てて茶碗にくっつける*下から上がってきた炎は棚板に当たって90度曲がる。炭を当てた部分は焦がす予定
6、焼成温度を測るために橋本さんが特別に穴を空けた炉を載せ、温度計を差す
DSC_8163-2  DSC_8178-2 7、空気穴からガスバーナーの炎を5分間ほど入れて炭に点火する。その後は窯まかせで焼成
8、焼成中は蓋の穴から炎が5cmほど吹き出る*長方形の煙突が上段棚板と90度クロス向きになるように蓋をしたので、蓋の裏に当たった炎は90度曲がって煙突から出る。このように紫松窯の炎はらせん状になって炉内を上昇する
DSC_8179-2 DSC_8180-2 9、約2時間で1,146度
10、空気穴に栓をして2時間で焼成を終了
 DSC_8183-2  11、栓をすると煙突から長い炎が飛び出す。常温になったら窯出しを行う*炉内は一時期還元焔状態になっている 取材協力:宗山窯(武藤宗一)
千葉県白井市清戸41
電話・FAX:047-492-3675
*宗山窯では同所にある窖窯の貸し出しを行っています