畑ノ原古窯復元

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長崎県波佐見町 畑ノ原古窯復元

佐賀県有田町にある有田築炉(代表・吉永和正)は代々、登窯や窖窯などの築炉を手掛け、柿右衛門窯を始めとする修復を加えるとその数は1,000基をはるかに超える。手掛けた窯は陶芸家や陶芸愛好家などの薪窯が多いが、次のように窯の復元や補修なども行ってきた。

○1989年 佐賀県有田町の柿右衛門窯の薪窯を80年ぶりに全面改修築窯
○1991年 佐賀県有田町の有田天狗谷古窯の復元図面製作
○1992年 福岡県春日市でウトグチ瓦窯展示館の奈良時代の窖窯復元
○1993年 長崎県波佐見町の畑ノ原古窯復元築窯
○1996年 佐賀県有田町で有田町歴史民俗資料館の薪焚赤絵窯復元
○2002年 鹿児島県喜入町で錦江陶芸の鹿児島龍門寺古窯を復元築窯
○2006年 佐賀県唐津市の国指定文化財・お茶碗窯補修

ここでは、有田築炉が手掛けてきたさまざまな古窯復元や現代の薪窯製作をとおして、焼き物づくりに欠かせない窯のロマンに迫る。

第1回目は1993年に手掛けた長崎県波佐見町の畑ノ原古窯。日本で初めて磁器を焼いたとされる有田の天狗谷窯とほぼ同時期の1610〜30年代に焼かれており、2000年に国史跡に指定された。現在は内側をレンガで補修しているが、復元は当時と同じ土だけで行われた。

① 焼成室が24、全長約55mの畑ノ原古窯

① 部屋が24、全長約55mの畑ノ原古窯


② 窯床を保護していた部材を取り外す

② 窯床を保護していた部材を取り外す


③ 窯床を保護するため、土でおおう

③ 窯床を保護するため、土でおおう


④ 竹で胴木間(燃焼室)のいちばん大きな部分をかたどる

④ 竹で胴木間(燃焼室)のいちばん大きな部分をかたどる


⑤ 胴木間全体を大ざっぱにかたどる

⑤ 胴木間全体を大ざっぱにかたどる


⑥ 竹を隙間なく並べ、土が漏れないようにする

⑥ 隙間なく竹を組む


⑦ 下から土を積み上げる(土は唐津焼の一大生産地・椎ノ峯の窯土にシャモットを加えたもの)

⑦ 下から土を積み上げる
(土は唐津焼の一大生産地・椎ノ峯の窯土にシャモットを加えたもの)


⑧ 各焼成室には焚き口を付ける

⑧ 各焼成室には焚き口を付ける


⑨ 最後の部屋に排気口を取り付ける

⑨ 最後の部屋に排気口を取り付ける


⑩ 排気口を長くして煙突状にする

⑩ 排気口を長くして煙突状にする


⑪ 再現された胴木間1と焼成室3による登窯

⑪ 再現された胴木間1、焼成室3の登窯


⑫ 火前に磁器を入れたさや鉢を、その背後には磁器を裸のまま詰め、当時のままのやり方で焼成

⑫ 火前には磁器を入れたさや鉢を、その背後には磁器を裸のまま詰め、当時のままのやり方で焼成