黒織部を焼く 2018

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黒織部を焼く

酸化と還元の間を行き来する薪窯では、重厚な焼き上がりになることが多い。
黒織部も同様の焼き上がりを狙い、炭や割り箸などの還元材を攻めどきに投入してみた。結果は上々で、中国黄土によると思われる秞の縮れも見られた。オリジナル釉薬の調合結果とともに、その焼成結果をレポートする。

 

焼き上がり

草木灰1に中国黄土4に対してベンガラの量が異なる黒秞を掛けたが、還元がきいているためか、黒秞の焼き上がりが総じて重厚だ。また、中国黄土を加えたためか、縮れができている。場所によっては、マット調にも焼き上がっている。
① 23時間、1,230度
草木灰1、中国黄土4(以下同様)に対して、左からベンガラ0%、同10%、同20%を加えた釉薬を掛け、900度、950度、1,000度、1,050度に3本ずつ割り箸を投入してから上蓋中央に17パイの穴の空いた栓をした。ベンガラ10%と20%の黒色度がとくにいい。またベンガラ20%がよく縮れている
  • ① 23時間、1,230度
    左からベンガラ50%、同100%を加えた釉薬を掛けた以外は、焼成状況は上と同じ。ベンガラ50%は黒色度、縮れ具合とも申し分ないが、ベンガラ100%は釉が熔け切っていない。 
② 21時間、1,240度
左からベンガラ0%、同10%、同20%を加えた釉薬を掛け、①と同じ焼成を行った。黒色度は①とほぼ同じだが、釉薬がより熔けている。(以後ベンガラを20%に固定)
  ③ 21時間、1,240度
ベンガラ20%を加えた釉薬を2度に分けて掛け、①と同じ焼成を行った。
釉薬が他より厚かったためかともにしっとりとした焼き上がりで、しかも黒釉が細かく縮れている。また、黒色度も問題ない 。
<左>④ 21時間、1,240度
ベンガラ20%を加えた釉薬を掛け、①の焼成に加え、1,200度、1,240度でも割り箸各3本投入し、少し冷却還元にした。黒色度や縮れ具合には問題がないが、艶がほとんどなくなってしまった。<右>⑤ 21時間、1,240度
ベンガラ20%を加えた釉薬を掛け、④と同じ焼成を行ない、さらに1,240度で30分ねらした。ねらしが長かったためか、釉薬が熔け過ぎてしまっている。

 釉掛けして、窯に詰める

黄瀬戸土と曽木もぐさ土を混ぜた粘土に、草木灰1、中国黄土4、ベンガラ(0〜100%)による黒釉を下掛けし、木灰と長石による透明釉を薄く上掛けする二重掛けを行った。
炭や割り箸を投入するための丸いさや鉢を炉の中心に立て、その周囲にぐい呑詰めた。
素焼きしたぐい呑に黒秞を掛け、さらに透明釉を薄掛けする
炉床中央の空気の取り入れ口を囲う丸いさや鉢の周囲に、サイコロ支柱を配置し、その上に焼き台を載せてからぐい呑を均等に配置した

焼成と焼き上がり

合計6回焼成した。焼成時間は、最高温度1,230度の23時間(焼き上がり①)と、同1.240度の21時間(焼き上がり①以外)の2種で、最初に温度差による黒秞の熔け具合を推し測った。
どちらも、9時間で60度まで上げ、その後6時間で900度まで上げた。900度に達してから炭を60g投入し、その後3時間(焼き上がり②③④⑤⑥)、または4時間(焼き上がり①)上蓋の煙突を閉じ、下の空気穴は半分開けた。と同時に割り箸を投入しているが、その投入と上蓋穴の開閉状況は焼き上がりを参照。

割り箸を投入する

炭は細かく砕き、900度のときに600g投入
炉内に空気を送る下の空気穴

割り箸を投入しすると煙が立つ
焼成の③〜⑥では、真ん中に穴を開けた棚板に詰めて焼成

焼締還元電気炉
92-01_0101


<P13-PEB335K-1Z>
*サイズ:340×340×500mm

*電 源:単相200V/5kW
*常用温度:1,300度

*価 格:780,000円(本体)

<C13-PFG555K-2Z>
*サイズ:490×490×500mm

*電 源:単相/三相200V/10kW
*常用温度:1,300度
*価 格:1,500,000円(本体)

<C13-PFG775K-2Z>
*サイズ:680×680×500mm

*電 源:単相/三相200V/20kW
*常用温度:1,300度
*価 格:2,300,000円(本体)

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