金彩正燕支 小山耕一作陶展 in 三越日本橋本店 2023

カテゴリー: 陶芸最前線.

 

時の移ろいに想いをこめた滝口和男による博物誌

2023年5月25日(木)〜6月4日(日)
セイコーハウス銀座ホール
中央区銀座4-5-11 セイコーハウス銀座6階
03-3562-2111(代表)

1953年京都に生まれ、89年日本陶芸展大賞秩父宮賜杯、90年MOA美術館岡田茂吉賞工芸部門優秀賞、91年日本陶磁協会賞をそれぞれ受賞し、翌年英国王立美術院を修了。2013年京都府文化賞功労賞を受賞し現在に至る。
同ホールでは3年ぶり6回目の個展で、時代の変遷を敏感にとらえ、その想いをやきものにこめた約100点が一堂に会する。確かな技術と多彩な表現力とで独自の陶芸を追求している滝口氏だが、缶詰をイメージした作品群では、誰もが思わず微笑むような心ほころぶノスタルジックな世界を展開。お馴染みの十二支や12星座、牽牛と織女、七福神たちが織りなすものがたりや小さなやきものでつくられた「博物誌」の展覧会。



《三日月音響匣 年を継ぐ者たちの宴には》
高さ13.8cm、18.6×24.9cm 


館匣 赤煉瓦の館に棲まう者たちが》
高さ18.3cm、15.3×16.5cm


上《織部釉匣 緑の中に鳥たちの楽園を見い出し》
高さ9.3cm、11.1×19.5cm
下《織部釉小匣 昔ながらの大工道具の箱には》
高さ6.3cm、5.7×13.2cm


奥《湧き立つ青白雲を》
高さ43cm、24×34cm
手前《一片の青白雲と》
高さ18.3cm、15.3×16.5cm




 

九谷毛筆細字「唯一無二の世界」田村敬星・星都展

2023年5月17日(水)〜22日(月)
三越日本橋本店 美術画廊
中央区日本橋室町1-4-1
03-3274-8472

「九谷毛筆細字」は素地に和歌などの古典文学の文字を極細の筆で描き込む絵付け技法で、明治期に九谷焼の繊細な絵付けに相応しい表現として石川県の南部地方で始まった。それを担ったのが1887年生まれの田村金星で、田村家では一子相伝の技法として受け継がれてきた。
祖父の金星からこの技法を受け継ぎ、万葉集や和歌などを細緻な文字と鮮やかな絵付けを組み合わせ、超絶技巧の中に雅な雰囲気を湛える作品を生み出しているのが1949年生まれの敬星氏で、祖父には69年に師事。89年に伝統九谷焼工芸展大賞、92年一水会陶芸部展一水会会員優賞ほかを受賞し、2005年には石川県指定無形文化財九谷焼技術保存資格保持者に認定されている。
1980年に生まれた星都氏は、筑波大学を卒業した2004に敬星氏に師事。九谷毛筆細字の技法を受け継ぎながら、細字をさらにデザイン化して色絵との調和を推し進める現代の九谷毛筆細字を生み出している。
初代・小田清山、二代・田村金星が進境を示した細字技法は、三代・敬星、四代・星都に受け継がれ、現代性あふれる雅の美を追求すべく、今もなお発展している。本展は、歴代の作品と合わせて敬星氏、星都氏の作品を一堂に展覧する「唯一無二の世界」展。



田村敬星(以下同)
《新古今集駱駝香炉》高さ17.2cm、10.3×9.1cm


《百人一首吉祥獅子香炉》高さ12.3cm、10.7×8.1cm


《百人一首色絵花文六角額皿》高さ4.5cm、33×35.5cm


《古今集花文仙箋瓶》高さ24.5cm、16.6×10.2cm




田村星都(以下同)
《百人一首獅子摘香爐》高さ15.2cm、11.2×10cm


《萬葉集和歌赤絵鉢》高さ5cm、31×31cm

 



金彩正燕支 小山耕一作陶展

2023年5月17日(水)〜22日(月)
三越日本橋本店 美術画廊
中央区日本橋室町1-4-1
03-3274-8472

1960年東京・台東区に生まれ、83年玉川大学文学部芸術学科陶芸コースを卒業し、日本陶芸倶楽部に入社。90年独立して台東区竜泉に築窯。
97年第35回朝日陶芸展特別賞、2003年第43回伝統工芸新作展東京都教育委員会賞、10年第50回東日本伝統工芸展日本工芸会賞、11年第39回伝統工芸陶芸部会展日本工芸会賞、15年第3回陶美展大賞、同年第43回伝統工芸陶芸部会展日本工芸会賞、2020年第48回伝統工芸陶芸部会展日本工芸会賞を受賞。
「正燕支(しょうえんじ)」と呼ばれる金を使って桃色を発色させる器や花器に加え、新たな取り組みの《金彩鉢》など新作の展示。



《金彩正燕支壺》高さ14.3cm、径15.3cm


《金彩正燕支鉢》高さ8.5cm、径17.5cm


《金彩正燕支桜蓋物》高さ8.5cm、径11.9cm


《金彩鉢》高さ8.5cm、径25.5cm

 



河本五郎-反骨の陶芸

2023年4月22日(土)〜8月20日(日)
菊池寛実記念 智美術館
港区虎ノ門4-1-35 西久保ビル
03-5733-5131
1919年製陶業を営む柴田家の次男として瀬戸市に生まれる。36年愛知県窯業学校を卒業後、京都国立陶磁器試験所意匠部に入所。46年復員し、兄と家業を再建し、50年染付陶芸家・河本礫亭の養嗣子となる。同年加藤(岡部)嶺男、加藤元男らと陶芸グループ「灼人」を結成し、53年第2回現代日本陶芸展最高賞(朝日賞)受賞。58年ブリュッセル万国博覧会グランプリ、59年カリフォルニア国際博覧会最高デザイン賞(金賞)、62年第1回日本現代工芸美術展大賞、同年新日展特選北斗賞、65年西ドイツ国際手工芸展特別展金賞を受賞し、86年に逝去。
河本は、幼少より瀬戸の窯業に身を置いたが、家業の伝統的な染付磁器とは異なる道を歩み、その制作は前半の陶器と後半の磁器に大きく分かれる。陶器では、土の粗い表情や裂け目、歪み、ひずみを生かし、様々な方法で素材感や物質感をダイレクトに造形化する作風を確立した。成形技法としてロクロに重きを置いた当時の瀬戸において、作りたいものに合わせて土や技法を選択、または開発する河本の姿勢は異質なものであった。
陶器から磁器に移行してからは、瀬戸の染付磁器やそのルーツとなる中国陶磁をもとに、現代的な独自の染付と色絵に取り組み、現代における陶芸を追求した。その成果は、国内だけでなく国際的にも高く評価されており、本展は東京で開催する没後初めての回顧展となる。陶磁器を表現素材と捉え、その創作に真摯に向き合った初期から晩年までの70余点の展覧。



《赤絵の壺》1971年
高さ41.5cm、33.6×31.5cm(撮影:渞忠之 以下同)


《長壺》1964年 高さ75cm、34×21cm


《色絵史神文四方器》1974年 高さ39.5cm、33×31.6cm


《色絵撩乱の箱》1974年 高さ39.5cm、35×42cm
瀬戸市美術館蔵


《銀彩女人四方器》1980年頃 高さ24cm、37.5×22.5cm


《染付歌垣文筥》1978年 高さ23.5cm、31.5×26cm

 



1958~ 益子個人陶芸の夜明け展

2023年4月16日(日)~7月17日(月)
益子陶芸美術館/陶芸メッセ・益子
栃木県芳賀郡益子町大字益子3021
0285-72-7555

江戸末期に始まる益子焼は優れた陶土に恵まれ、東京という大消費地に近いこともあり、水甕や土瓶などの日用品の産地として栄えた。工業製品が流通するようになると一時衰退したが、1924年益子に定住し後に人間国宝となるは濱田庄司(1894-1978)が主導した「用の美」により益子焼は再び注目を集めるようになった。
55年頃になると、陶芸を志す若者が数多く訪れるようになったが、それに拍車を掛けたのが、塚本製陶所(現、株式会社つかもと)の研究⽣制度だ。⽇中は従業員と同じ仕事をこなし、終業後は夜10時までは同じ⼯場でろくろなどの勉強ができたというこの制度は93年まで続き、100名を超える研究⽣を輩出している。そのひとりに加守⽥章⼆がいる。茨城県の⽇⽴製作所派遣研修⽣であった加守⽥は、58年に益⼦に移り研究⽣となった。
本展は58年から70年頃に研究⽣として益⼦に⼊った加守⽥章⼆をはじめとする⽩⽯嶈、瀬⼾浩、廣崎裕哉、武⽥敏男、菊池昭、鈴木量、ゲルト・クナッパー、松村仁団望、伊藤信らと、同時期に益⼦で作陶をはじめた⼩滝悦郎、松原直之、安⽥猛、⼤宮司崇⼈、吉川⽔城、⻑倉翠⼦、肥沼美智雄、髙内秀剛、成良仁らを紹介する企画展で、多くが益子陶芸美術館の所蔵する作品だ。



廣崎裕哉《⽛⽩磁瓶⼦⿃⽂花⽣》2009年
益子陶芸美術館蔵(以下同じ)


髙内秀剛《織部⼿桶》


加守⽥章⼆《曲線彫⽂壺》1970年


瀬⼾浩《⾦銀絵付壺》1985年


⻑倉翠⼦《瓔》1985年


菊池昭《塩釉花⽣》1988年

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