本焼用コンロ窯で引出黒などを焼く 2014

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本焼用コンロ窯で引出黒などを焼く

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高い保温性の「本焼用コンロ窯」



*サイズ:<外寸>H450×φ370mm
    <内寸>H150×φ200mm
*重 量:10kg
*付属品:焼き台(スパイダー)
*価 格:65,000円(税込・送料別)

◎製造・販売:西念陶器研究所
〒596-0808 大阪府岸和田市三田町1336
 電話:072-445-7070
 FAX: 072-445-7079

 

 

 

 

「楽焼用コンロ窯」が土台

本焼用のコンロ窯」は、「楽焼用コンロ窯」を製造・販売する大阪・岸和田市の西念陶器研究所が、本焼も手軽に焼きたいという愛好家の要望に応えたもの。ロングセラーの楽焼のコンロ窯を土台に、本焼ができるように改良を重ね、素焼、本焼の酸化焔焼成、中性焔焼成、還元焔焼成に加え、引出黒(ひきだしぐろ)なども簡単に焼けるなど、同研究所が長年にわたって開発に取り組んできたコンロ窯ならではの特徴が際立つ新窯だ。
本焼用の内寸は、楽焼用より径で1cm、高さで5cm大きく、径200mm、高さ150mm。このため、茶碗だけでなく、深鉢や筒物も焼けるようになった。
また、焼成室が広くなったことにより焼き台(スパイダー)の出し入れがラクになり、使い勝手が向上した。

 

高い保温性OLYMPUS DIGITAL CAMERA

楽焼用コンロ窯の炉壁には珪藻土を使用しているが、本焼用にはそれより耐火性と断熱性に優れているセラミックファイバーを使用。これにより、焚き方は楽焼窯とまったく同じだが、1,300度以上の高熱に耐える窯に仕上がった。

 

 

 



 
引出黒(瀬戸黒茶碗) 引出黒03
土灰5:鬼板5の黒釉を掛け、
オルトンコーン6が半倒する1,220度で焼成。
焼成後15分間蓋を開け、その後蓋をして徐冷。
 引出黒(織部黒茶碗) 引出黒04
上に黒織部釉、下に唐津長石釉を掛け、
オルトンコーン8が完倒する1,260度で焼成。
15分間急冷し、その後徐冷。*瀬戸黒や織部黒は通常、釉薬が熔けた頃に窯から引き出して焼成される。しかし「本焼用コンロ窯」の場合は焼成終了後に、空気穴と蓋をしばらく空けたままにしておくことにより、窯から引き出したときと同じ状況となる。つまり、窯から引き出すことなく「引出黒」が焼ける。
志野茶碗 引出黒05
もぐさ土で成形し、
平津長石による志野釉を施釉。
オルトンコーン8が完倒する1,260度で焼成。
光悦写 不二山 引出黒06

に唐津長石釉(土灰2:長石8)、下に
黒織部釉(土灰3:鬼板3:平津長石4)を施釉。
焼成温度は1,260度で、オルトン
コーン8が完倒。

 



窯詰めと焼成

1.5kgの成形木炭、焼き台、作品の順に窯詰めする。
空気穴の栓を外し、そこからガスバーナーで炭に点火。すると2時間ほどで1,260に達し、作品が焼き上がる。
炭は通常のものより、おがくずを固めた備長炭の固さに近い成形木炭が適している。


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(左から)

1、1.5kgの成形木炭を、サイコロ状に砕き、窯に詰める

2、焼き台(スパイダー)を設置し、その上に茶碗を載せる

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3、ガスバーナー(写真)の炎を5分間ほど空気穴から入れ、炭に点火

4、約1時間で800度になり、2時間後には1,260度に達する

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5、「引出黒」の場合は、焼成終了直後に蓋と空気栓を外してしばらく急冷し、その後蓋をして空気栓も閉める

6、焼き上がり