簡易登り窯「紫松窯」で
焼締、引出黒などを焼く
重箱のような構造の「紫松窯」は、大阪の(株)マツダが製造・販売する炭を燃料とした登り窯のような窯で、燃料の炭は下段に、作品を中段と上段に詰めて焼成する。中段の床と上段の棚板は左右を空けて90度ずらし、さらに蓋に空けた煙突も90度ずらす。そうすることにより炎がらせん状に上昇し、炉内をまんべんなく暖めると同時に、1,300度以上の焼成温度を実現した。紫松窯は、炭の灰が降り注ぐことがほとんどないので釉薬ものもきれいに焼き上がる。また、炭やもみ殻などと窯詰めすれば焼締ものも問題なく焼き上がる。さらに炉を積み重ねただけなので、引出黒などの焼成もラクに行うことができる。こうした操作しやすい窯で多様な焼成を楽しんでいるのが、千葉・柏市の橋本達也さん68歳だ。
5年前に製造元で実際の焼成を見学して購入を決断。自宅の駐車場で年に10回ほど焼成を行ってきたが、現在は近くの宗山窯に紫松窯を移した。その窯詰めから焼成までを、今まで焼いてきた多彩な作品とともに紹介する。
*蓋外寸法:H50×W400×D400mm
*各焼成室外寸法:H350×W400×D400mm
*各焼成室内寸法:H200×W270×D270mm
*加熱室外寸法:H200×W400×D400mm
*加熱室内寸法:H200×W270×D270mm
*価格:542,860円
(外寸と内寸が各50mm狭く、焼成室の高さが50mm低い Sタイプは358,100円。いずれも本体価格)
製造・販売:株式会社マツダ
〒586-0094 大阪府河内長野市小山田町5365-23
電話: 0721-53-9444
FAX:0721-53-9443
焼き上がり
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窯詰めと焼成
一つの燃焼室と二つの炉内が別々で、しかも重箱のように重ねただけの紫松窯の窯詰めは簡単だ。いちばん下の燃焼室に製造元が推奨するコーヒーの漉した粉を固めた「ハイカロ炭」をいっぱいに詰め、その上に重ねた二つの炉に作品を詰めて蓋をする。焼成は、燃焼室の空気穴からバーナーの炎を入れて炭に点火するだけ。炭を注ぎ足したり、作品を引き出したりすることが構造上簡単にでき、電気窯、ガス窯、灯油窯を上回る機能性を備えているのが、紫松窯の大きな特徴だ。