桟切(さんぎり)を焼く2014

by & filed under 新型窯に挑む.

備前焼の桟切(さんぎり)を焼く

熱線をセラミックボードで囲った焼締還元電気炉「P13」「C13」は、焼成中に上蓋から炭を投入することができるこうした窖窯並みの焼締焼成を可能にした「P13」「C13」による第2回目の焼成は、備前焼の桟切(さんぎり)。桟切とは備前焼の焼き上がりの一つで、投入した薪などによって部分的に還元焔雰囲気をつくり出し、灰色や灰青色に焼き上げたものを指す。
緋襷、胡麻、紫蘇、窯変それに桟切などのほとんどの備前焼が焼けるように設計されている「P13」「C13」に炭を投入して、桟切に挑んだ。


 

桟切の焼き上がり


道具土などに載せて横にして焼いた徳利

道具土などに載せて横にして焼いた徳利


炭が肩に掛かり、さらに腰の周辺に溜まったオブジェ

炭が肩に掛かり、さらに腰の周辺に溜まったオブジェ


底の周辺に炭が溜まった。オブジェとも千葉の小橋渚さんの作品

底の周辺に炭が溜まった。オブジェとも千葉の小橋渚さんの作品

窯詰め

「P13」「C13」における炭の投入は上からだけなので、桟切の模様が同じになるのを防ぐために、一部の作品は道具土を土台にして斜めにしたり、横にしたりする。そうすることにより、道具土に接した部分が緋色になることが多い。
また、形状の異なる作品を側に詰めたりして、投入した炭が思いがけない形をした桟切になるようにする。
さらに、器の中に道具土を入れて炭が入らないようにしたり、底に藁やもみ殻を敷いたりして、緋襷や緋色をねらう。
桟切06_0009 桟切07 オブジェを中央にすえた窯詰めの全体像。今回使用した粘土は小石を取り除いただけの単身の備前土
 桟切10_0060  桟切08  <左>焼いたもみ殻を付けた道具土の上にわらを載せて器をかぶせると、見込が緋色や紫蘇色に焼き上がる
<右>空気穴を計算に入れて作品を横や斜めにして詰める。炭が溜まる下段は、空気が少ないかあるいは炭が多すぎた部分は焦げ、炭が燃え尽きたときは灰色になる
桟切09  桟切05_0046-2  斜めの角度にするときは道具土を土台にする。だが、直に載せると生の作品が崩れることがあるので、道具土はラッピングフィルムで包む。さらに道具土にあらかじめ焼いたもみ殻を付けておくと、それに接触したところは写真のように緋色に焼き上がる
 桟切11_0052  桟切12_0062 ビアマグの中には藁を入れ、緋色や紫蘇色に焼き上がるようにする。また、オブジェを詰める棚板の上には珪砂と藁を敷き、底が緋襷になるようにする
 桟切14_0075  桟切13_0076  オブジェを詰める。
さらに、口の広いビアマグの中には焼いたもみ殻を付けた道具土をラッピングフィルムで包んで入れ、炭が入らないようにする
 

30時間あぶり、900度から攻める

桟切を焼くためのあぶりは約30時間。素焼きをしないので1時間に30度ずつ上げる。それ以上のペースだとぶくが出る。
攻め焚きは900度になってから。窯の正面下部にある空気穴を4分の1ほど開け、上蓋の5つの穴の一つから炭を1本落とす。1分間栓をしてから、中央に穴を空けた栓を煙突代わりに立て、他の穴には太い円筒を立てる。排気の流れを変えて、炭が燃えたときに発生した熱や還元焔を炉内全体にまんべんなく行き渡らせるためだ。
1,150度に達したら太い円筒を中央に差し、他の穴には栓をする。空気穴は3分の1ほどに広げ、随時炭を投入して還元状態を維持しながら1,220度まで上げる。

 

炭を大量に投入

1,220度になったら2時間ねらす。このときに炉内では、熔けた灰が素地に定着してガラス化し、素地中のガスが素地から出にくくなる。その後30分間で1,160度まで落としてから、3回に分けて合計4kgほどの炭を投入する。これが炭による焦げや灰色の桟切の色付けで、炭を投入すると炉内温度は10度ほど低くなる。
炭の投入を終えたら950度まで空気穴を全開し、炭を燃やし切る。このとき炉内は酸化焔雰囲気に変わり、素地に入り込んだガスが素地中の鉄分などと反応して緋色となる。素地の表面はガラス化しているので緋色は素地に留まり、その時間が長くなればなるほど緋色が広くしかも強くなる。
炭が燃え尽きたのを確認してから電源を切り、空気穴と上蓋穴を全部閉めて常温まで冷ます。
桟切16 桟切17_0343 炭を落としした穴に小さな穴を空けた栓を、他の穴の一つには円筒形の煙突を差して攻め焚を行うと炎が吹き出す桟切18_0361
桟切19_0433 桟切20_0367 炭を大量に投入して上蓋を閉めると、炎が中央の煙突から勢いよく飛び出る
桟切21_0005 桟切22_0029 <左>炭がほとんど燃え尽きた桟切の焼き上がり
<右>緋色の出具合に差があるものの、ほとんどの作品が「桟切」調になっている
 

「P13-PEB335K-1Z」

「P13-PEB335K-1Z」



 

 

 

焼締還元電気炉

<P13-PEB335K-1Z>
*サイズ:340×340×500mm
*電 源:単相200V/5kW
*常用温度:1,300度
*価 格:780,000円(本体)

<C13-PFG555K-2Z>
*サイズ:490×490×500mm

*電 源:単相/三相200V/10kW
*常用温度:1,300度
*価 格:1,500,000円(本体)

<C13-PFG775K-2Z>
*サイズ:680×680×500mm

*電 源:単相/三相200V/20kW
*常用温度:1,300度
*価 格:2,300,000円(本体)

◎製造・販売:(株)誠興電機産業 電気炉事業部
〒709-0463 岡山県和気郡和気町田原上960-2
電話:0869-93-0398 FAX :0869-93-3312