備前焼の桟切(さんぎり)を焼く
熱線をセラミックボードで囲った焼締還元電気炉「P13」「C13」は、焼成中に上蓋から炭を投入することができるこうした窖窯並みの焼締焼成を可能にした「P13」「C13」による第2回目の焼成は、備前焼の桟切(さんぎり)。桟切とは備前焼の焼き上がりの一つで、投入した薪などによって部分的に還元焔雰囲気をつくり出し、灰色や灰青色に焼き上げたものを指す。緋襷、胡麻、紫蘇、窯変それに桟切などのほとんどの備前焼が焼けるように設計されている「P13」「C13」に炭を投入して、桟切に挑んだ。
桟切の焼き上がり
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窯詰め
「P13」「C13」における炭の投入は上からだけなので、桟切の模様が同じになるのを防ぐために、一部の作品は道具土を土台にして斜めにしたり、横にしたりする。そうすることにより、道具土に接した部分が緋色になることが多い。また、形状の異なる作品を側に詰めたりして、投入した炭が思いがけない形をした桟切になるようにする。
さらに、器の中に道具土を入れて炭が入らないようにしたり、底に藁やもみ殻を敷いたりして、緋襷や緋色をねらう。
30時間あぶり、900度から攻める
桟切を焼くためのあぶりは約30時間。素焼きをしないので1時間に30度ずつ上げる。それ以上のペースだとぶくが出る。攻め焚きは900度になってから。窯の正面下部にある空気穴を4分の1ほど開け、上蓋の5つの穴の一つから炭を1本落とす。1分間栓をしてから、中央に穴を空けた栓を煙突代わりに立て、他の穴には太い円筒を立てる。排気の流れを変えて、炭が燃えたときに発生した熱や還元焔を炉内全体にまんべんなく行き渡らせるためだ。
1,150度に達したら太い円筒を中央に差し、他の穴には栓をする。空気穴は3分の1ほどに広げ、随時炭を投入して還元状態を維持しながら1,220度まで上げる。
炭を大量に投入
1,220度になったら2時間ねらす。このときに炉内では、熔けた灰が素地に定着してガラス化し、素地中のガスが素地から出にくくなる。その後30分間で1,160度まで落としてから、3回に分けて合計4kgほどの炭を投入する。これが炭による焦げや灰色の桟切の色付けで、炭を投入すると炉内温度は10度ほど低くなる。炭の投入を終えたら950度まで空気穴を全開し、炭を燃やし切る。このとき炉内は酸化焔雰囲気に変わり、素地に入り込んだガスが素地中の鉄分などと反応して緋色となる。素地の表面はガラス化しているので緋色は素地に留まり、その時間が長くなればなるほど緋色が広くしかも強くなる。
炭が燃え尽きたのを確認してから電源を切り、空気穴と上蓋穴を全部閉めて常温まで冷ます。
炭を落としした穴に小さな穴を空けた栓を、他の穴の一つには円筒形の煙突を差して攻め焚を行うと炎が吹き出す | ||
炭を大量に投入して上蓋を閉めると、炎が中央の煙突から勢いよく飛び出る | ||
<左>炭がほとんど燃え尽きた桟切の焼き上がり <右>緋色の出具合に差があるものの、ほとんどの作品が「桟切」調になっている |
焼締還元電気炉
<P13-PEB335K-1Z>
*サイズ:340×340×500mm
*電 源:単相200V/5kW
*常用温度:1,300度
*価 格:780,000円(本体)
<C13-PFG555K-2Z>
*サイズ:490×490×500mm
*電 源:単相/三相200V/10kW
*常用温度:1,300度
*価 格:1,500,000円(本体)
<C13-PFG775K-2Z>
*サイズ:680×680×500mm
*電 源:単相/三相200V/20kW
*常用温度:1,300度
*価 格:2,300,000円(本体)
◎製造・販売:(株)誠興電機産業 電気炉事業部
〒709-0463 岡山県和気郡和気町田原上960-2
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