備前焼を焼き直す
窖窯や登り窯で焼いても、希望した景色や色にならないことのほうが多い。さらに、焼き直ししても、詰める場所が同じであれば、劇的な変貌は期待できない。
そんなときに群を抜いた潜在力を発揮するのが焼締還元電気炉「P13、C13」で、登り窯などで一度焼き締めた備前焼の焼き直しを試みた。
左が最初の焼成で右が再焼成(以下同様)。焼き直しにより焦げと緋色が際立った |
窯詰め
一度本焼きしているので、道具土は器体に直接貼り付けるか、棚板にすえた道具土に直接載せる。道具土に接している部分には炭が当たらない。従って、焼き上がりの景色を想定しながら道具土の位置を決めるが、1回目の焼成でできた景色や色はほとんど考慮する必要がない。再焼成の際の還元作用により、以前の焼き上がりの痕跡がほとんど消えてしまうからだ。
焦げねらいのぐい呑を下段に詰め、約5kgの炭を器物の間や上にまんべんなく載せて窯詰めが完了。
*器の制作協力:清水忍(岡山)、小橋渚(千葉)、五味信吾(山梨)
薄い緋色に焼き上がった花入の胴を大きく道具土でおおい、徳利の胴には大きな道具土を3カ所に貼り付けて大柄な模様をねらう | ||
長い花入は胴を3点で支え、ぐい呑は道具土に載せて横にする | ||
炭が入るような隙間を空け、約5kgの炭を詰める |
焼成と焼き上がり
19時間かけて1,220度まで上げ、2時間キープする。15時間ほどに経過した1,000度前後には、炭がほとんど燃え尽きてしまうので、約2.5kgの炭を投入する。その後1時間掛けて1,150度まで落とし、同温度を2時間キープする。そのときには炭を3kgほど再投入し、さらに下穴と上蓋の穴の一部を開ける。酸化焔にして緋色を定着させるためだが、その状態を維持しながら18時間ほど掛けて955度まで下げる。長い時間を掛けてゆっくりと冷まし、しっとりとした艶消しに焼き上がる。
左が最初の焼成で右が再焼成(以下同様)で、しっとりとした焼き上がり | ||
最初の焼成の痕跡が一変したオブジェ | ||
道具土を当てた部分は鮮やかな緋色に。露出した部分は予定どおり焦げた | ||
焦げと緋色のメリハリがつき、ほぼ納得のいく焼き直し |
<P13-PEB335K-1Z>
*サイズ:340×340×500mm
*電 源:単相200V/5kW
*常用温度:1,300度
*価 格:780,000円(本体)
<C13-PFG555K-2Z>
*サイズ:490×490×500mm
*電 源:単相/三相200V/10kW
*常用温度:1,300度
*価 格:1,500,000円(本体)
<C13-PFG775K-2Z>
*サイズ:680×680×500mm
*電 源:単相/三相200V/20kW
*常用温度:1,300度
*価 格:2,300,000円(本体)
◎製造・販売:(株)誠興電機産業 電気炉事業部
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