生誕100年 藤本能道―生命を描いた陶芸家
2019年8月3日(土)〜12月1日(日)菊池寛実記念 智美術館
港区虎ノ門4-1-35 西久保ビル
03-5733-5131
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1919 年東京に生まれ。東京美術学校(現・東京藝術大学)に入学し、色絵の大家・富本憲吉と加藤土師萌に師事し、陶芸の道に進む。戦後鹿児島で窯業指導に従事し、京都に移ってからは作陶家集団・走泥社や、モダンアート協会で前衛的な陶彫を発表する。陶芸専攻講座が整備された1962 年から母校で教鞭をとると色絵磁器を追求し、白磁に瑞々しい色彩で草花や鳥などを描ようになった。
色絵技法を習得した藤本は、それまでなかった中間色の絵具や釉薬調合を試み、色調と質感を極限まで追求。83年頃には、絵具と釉薬を融合した独自の表現「釉描加彩」を創出した。陶磁器でありながら絵画のような空間の広がりと 複雑な色彩の重なりをみせる新たな表現により、86年重要無形文化財「色絵磁器」技術保持者に認定され、色絵磁器の新たな可能性を示した。
本展では、色絵磁器以前の初期作品から当館創始者・菊地智がコレクションした代表作など、藤本色絵の頂点を展覧しているが、「幻の食器」といわれるディナーセットも見所になっている。1976 年茨城県下で行われた植樹祭の折に、菊池家の宿泊施設に宿泊した昭和天皇、 皇后両陛下の晩餐用に、菊池が藤本に制作を依頼した総数230ピースの食器で、鳥や花の絵皿は1点ずつデザインが異なる。両陛下の晩餐で一夜のみ使用された後は秘蔵され、この度は10 年ぶりの展示・公開となる。